通勤災害と認められない通勤経路の逸脱・中断とその例外

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  従業員が通勤途上でケガ等をした場合には、通勤災害として労災保険から治療費等の給付を受けることができます。しかし、通勤の途中で寄り道をしたり、通勤とは関係のない行為をした場合には、原則として労災保険からの給付を受けることができません。
そこで今回は、実務上間違えやすい具体的な事例を通じて、通勤災害に関する注意点について解説します。

[1]通勤災害として認められない逸脱と中断

  通勤の途中で就業や通勤とは関係ない目的で合理的な経路を逸れることを「逸脱」といい、経路は逸れていなくても通勤と関係ないことを行うことを「中断」といいます。通勤の途中に逸脱または中断がある場合には、原則としてその間とその後にケガ等をしたとしても通勤災害として認められません。
  例えば、会社からの帰宅途中に通勤経路から外れた映画館で映画を観て、その後いつもの通勤経路に戻って帰宅するケースでは、映画を観に行くために経路を逸れた時点から経路を逸脱し、かつ中断したとされ、映画を観ている間のケガ等はもちろん、それ以降にケガ等をしても通勤災害とは認められません。

[2]逸脱または中断における例外

  逸脱と中断には例外があり、日常生活上必要な行為であって、やむを得ない理由で必要最小限度の範囲で行う場合に限り、通勤経路に戻った後は再び通勤として認められます(下図参照)。なお、逸脱または中断している間のケガ等は対象外となります。

この例外となる行為は厚生労働省令で以下のように定められています。

1.日用品の購入その他これに準ずる行為
2.職業能力開発促進法第15条の6第3項に規定する公共職業能力開発施設において行われる職業訓練、学校教育法第1条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
3.選挙権の行使その他これに準ずる行為
4.病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
5.要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹ならびに配偶者の父母の介護(継続的にまたは反復して行われるものに限る。)

  実際に通勤途上でケガ等をした場合で、逸脱または中断があった際に通勤災害であると認められるかどうかは、個別の事情を考慮して管轄の労働基準監督署長が判断することになります。今回とり上げたように通勤経路からの逸脱または中断があった場合には、通勤災害として認められないケースがありますので、ポイントを押さえると共に、従業員にも周知しておくとよいでしょう。